廃材と草木染で描く「カビ」の美学【GFC東京2026A/W】



「汚い」「不完全」とされるものは、本当に排除されるべき存在なのだろうか。
Marika SuzukiがGlobal Fashion Collective(GFC)東京2026A/Wで発表したコレクションは、“カビ”という一般的には嫌悪されがちな存在をモチーフにしながら、そこに宿る生命力と共生の美しさを描き出した。
廃材、草木染、透明素材、有機的なフォルム――。
それらが複雑に絡み合うランウェイは、単なるファッションショーではなく、「コンプレックスとの向き合い方」を問いかける空間だった。
「カビ」を美へと変える、Marika Suzukiの世界観

今回のコレクションで印象的だったのは、“カビ”というテーマをネガティブに扱わなかった点だ。
通常、「カビ」という言葉から連想されるのは、
- 汚れ
- 劣化
- 不衛生
- 腐敗
といったマイナスイメージだろう。
しかしMarika Suzukiは、その存在を“生命の循環”として再解釈する。
ランウェイでは、草木染による有機的な色彩や、廃材を再構築した素材が複雑に重なり合い、まるで菌糸が増殖していくような造形を生み出していた。
不完全だからこそ生まれる美しさ。
その思想が、コレクション全体を通して静かに貫かれていた。


廃材と自然素材が生み出す、有機的なファッション
今回のルックでは、廃材や再利用素材が多く使用されていた点も特徴的だった。
透明感のある素材や繊維状の装飾は、まるで自然界の微生物や菌類を思わせる。
さらに草木染による柔らかな色彩が加わることで、“人工物”と“自然”の境界が曖昧になっていく。
ファッションでありながら、生態系の一部を見ているような感覚。
それは近年のサステナブルファッションとも重なるが、Marika Suzukiの表現は単なる環境配慮に留まらない。
そこには、
「不要とされたものにも価値は宿る」
という強いメッセージが感じられた。


コンプレックスを否定しない、「共生」という表現
このコレクションの核にあるのは、“克服”ではなく“共生”だ。
コンプレックスや弱さを「消すべきもの」とするのではなく、自分の一部として受け入れる。
その考え方が、「カビ」というモチーフに重ねられているようにも見えた。
実際、ランウェイに登場したルックは、完成された美しさだけではなく、
- 不均衡
- 歪み
- 増殖
- 混在
といった“不完全さ”を積極的に取り込んでいる。
しかし、その不完全さこそが圧倒的な存在感を放っていた。
現代社会では、SNSを通じて「完璧さ」が求められる場面も多い。
だからこそMarika Suzukiのコレクションは、「そのままの自分で存在していい」という静かな肯定にも感じられた。


GFC東京2026A/Wで放った、静かな異彩
Global Fashion Collectiveは、世界各国の新進気鋭デザイナーが集まる場として注目されている。
その中でもMarika Suzukiのコレクションは、特に“精神性”を感じさせるショーだった。
派手な演出ではなく、素材と思想で魅せる。
だからこそ、一つひとつのルックに視線を奪われる。
有機的に絡み合う装飾や、不完全さを抱えたシルエットは、「美しさとは何か」という価値観そのものを問い直していた。
不完全さの中に宿る、新しい美しさ
Marika Suzukiが描いたのは、単なる“カビ”ではない。
それは、
- 廃材と自然
- コンプレックスと自己受容
- 不完全さと美しさ
が共生する、新しい価値観だった。
「不要」とされたものにこそ、美しさは宿る。
そんなメッセージを静かに放った今回のコレクションは、Rakuten Fashion Week TOKYO 2026 A/Wの中でも、強く記憶に残るショーの一つとなった。


Global Fashion Collectiveとは
Global Fashion Collectiveは2017年に設立された国際的ランウェイプラットフォームで、新鋭デザイナーの発掘と育成を目的としている。
ニューヨーク、ロンドン、ミラノ、パリ、東京など世界各地でショーを展開し、次世代デザイナーの国際的発信を支援している。
今回のランウェイにはAo Miyasakaのほか、Marika Suzuki、Eduardo Ramosが参加。それぞれが異なる視点から現代を表現した。






































💎取材・文:洪 玉英 📸写真:安座間 優
