ファッションの最前線を走る人気モデルたちが、華やかに広島へと集い、新たなステージを彩った。
広島の街が紅葉で色づく12月。肌を撫でる冬の空気の中、原爆ドームを望むこの土地に、華やかな光が灯った。

「笑顔と平和がつなぐ未来」を掲げた 「ヒロマツホールディングス presents TGC HIROSHIMA 2025」(以下、TGC広島2025) が 広島市中区・広島グリーンアリーナで12月6日、ついに開幕した。
国内最大級のファッションイベント「東京ガールズコレクション(TGC)」の実行委員会が主催し、広島での開催は2017年以来、実に8年ぶり2回目。
今年のテーマは「UNITE THE SMILE」。原爆投下から80年という節目の年を迎える広島から、「平和」と「笑顔」を世界へ発信するステージが展開された。
今年のオープニングを飾ったのは、モデルとして若者から絶大な支持を集める なごみ と、ドラマ・映画界で人気急上昇中の 出口夏希ら。
“豪華”という言葉だけでは足りない、迫力とメッセージに満ちた 圧巻のステージ が、会場を一瞬にして魅了した。
光と闇が生み出す“息を呑む瞬間”
開演を告げるベルが鳴ったわけでもない。
ただ、ふっと空気が静まり返った次の瞬間——
会場全体を揺らす重低音 が響き渡った。
闇の中にぼんやり浮かび上がるスモーク。
その奥から聞こえるのは、
野獣が唸るような、土の底から響くような声。
観客席には「何が始まるの…?」という緊張と期待が走り、
静寂の中で誰もが息を呑んだ。
やがて、暗闇を切り裂くようにスポットライトが点灯——
そこには なごみ の姿があった。

なごみ、光をまとうように堂々と登場

鮮やかなホルダートップにミニスカート。
そして重厚感のあるブラウンのロングコート。
光を受けてきらめくその衣装は、
闇から生まれた“戦士”のようでもあり、
未来へ向かって歩き出す“新しい命”の象徴のようにも見える。
ステージの床をリズムよく刻むBGMは、
民族音楽とEDMを融合させたような躍動感あるサウンド。
心臓の鼓動とリンクするように拍動し、
観客の体温までも引き上げていく。
なごみが踏み出す一歩一歩が、
その音に寄り添うように、
そして力強く響いた。

出口夏希、“太陽”そのもののように輝く存在感
オープニングステージのトリを飾ったのは、会場の視線を一心に集める 出口夏希。

白いシャツに黒い帯。
そしてひときわ目を引く深紅のマフラー。
光が当たった瞬間、
ふわりとマフラーが風に揺れ、まるで炎が舞うように見えた。
その瞬間、天井からゆっくり降りてくる巨大な光球 がステージの中心を照らす。
まるで“新しい太陽が昇る瞬間”を見ているかのような神聖さ。
観客席から自然と漏れる「わあ…」という感嘆。
出口夏希の瞳に映る光が、
そのまま未来への希望を象徴しているかのように輝いていた。

二人が歩く姿はまさに“平和の天使”
なごみと出口夏希が同じランウェイに並び立つと、
ステージの空気はさらに熱を帯びた。
照明は白から赤、そして青へと移ろい、
二人の背中をやさしく押すように包み込む。
観客はスマホを構えつつも、
その圧倒的な世界観に息をするのを忘れるほど。
「この瞬間を見られてよかった」
——そんな気持ちが自然と湧き上がる。
二人の姿は、時代の暗闇を光で切り開く“平和の天使” のようで、そのウォーキングには強さと優しさ、そして未来への希望が満ちていた。
広島で生まれた“平和の物語”をファッションで届ける
今回のステージを手がけたのは、広島出身のスタイリスト 谷田貝貴之(やたがい・たかゆき)氏。テーマは 「TRIBE(トライブ)」。
架空の民族をイメージし、和・ミリタリー・デニムなど多様な素材や文化をミックスしたスタイリングで、「未来へ向かう力強さ」を表現した。
原爆投下から80年を迎える広島で生まれたこのステージは、
単なるファッション演出ではない。
“平和を願う心”を、言葉ではなく視覚と音で伝えるアート作品 のようだった。
広島から世界へ。希望の光をつなぐステージ
TGC広島2025のオープニングステージは、
ファッションという枠を超え、
観る人の心に静かに染み込む“平和への祈り”そのものだった。
なごみと出口夏希らは、その祈りの象徴としてランウェイに立ち、
「笑顔と平和がつなぐ未来」を美しく力強く描いた。
広島から世界へ——
この希望の光は、きっとこれからも多くの人々の心へ届いていく。
💎取材・文:洪 玉英 📸 写真:安座間 優


