和装で魅せた初ステージ、水川あさみが“情熱”をまとい登場
女優・水川あさみが、2025年6月14日(土)に京都市下京区の京都劇場で開催された『FASHION CANTATA from KYOTO 2025』にて、和装ランウェイに初登場を果たした。
伝統と革新が交差する舞台で、彼女は“情熱”をテーマにした2種類の着物を身にまとい、観客の視線を一身に集めた。
京都発・ファッションカンタータとは?文化とファッションの架け橋
『ファッションカンタータ from KYOTO』は、京都の伝統産業と現代ファッションの融合を目的に毎年開催される一大イベント。
和装と洋装を一つのステージで展開し、衣の“未来”を発信する場として、国内外から注目を集めている。
今回、水川さんはこのステージに初参加。圧倒的な存在感とともに、和装の奥深い魅力を体現した。
静かなる一着目——可野浩太郎の「情熱の夏」
構成はすべて直線。無駄を削ぎ落とした幾何学的な意匠に、「枠」の中に込められた内なる情熱が息づく。
地模様にはねじれ菊があしらわれ、深みのある“玄屋ブルー”の色彩が舞台照明に浮かび上がり、幻想的な世界観を演出した。

水川さんの芯の通った立ち姿と相まって、感情の奥底にある熱が、静かににじみ出るような演出となった。

鮮烈な二着目——青野保夫の「情熱の夜」

二着目は、染色作家・青野保夫氏による作品「情熱の夜」。
赤・青・黄の三原色で構成された、ろうけつ染の着物は、まるで宇宙に浮かぶステンドグラスのよう。大胆にあしらわれた「花」のモチーフが、燃え上がるような感情を象徴している。
曼荼羅をモチーフにした帯が、神秘性と知性を添え、水川さんの大人の魅力を際立たせた。
「普段の衣装とはまったく違う感覚で、着ているだけで気持ちが華やかになるんです。」
と記者会見で語った水川さん。静と動、色彩と形が共鳴するこの衣装は、まさに“情熱”を纏う芸術品だった。
構成はすべて直線。無駄を削ぎ落とした幾何学的な意匠に、「枠」の中に込められた内なる情熱が息づく。

「着物はもっと身近に」——水川あさみ、和装への想いを語る

記者会見では、和装に対する素直な想いを口にした水川さん。
「スーツや着物を着ると背筋が伸びて、凛とした気持ちになるんですよね。
特別な着物を着ると、今日という日も特別になる。」
と、その“着る体験”の力を語った。
さらに、
「日本人にとって着物は本来、近くにある存在のはず。
でも日常生活の中では、どこか遠いものになってしまっている気がするんです。
だからこそ、もっと身近に感じてもらえる機会が増えてほしい。」
という願いを込めたコメントも。
華やかな舞台に立つだけでなく、文化と暮らしの橋渡し役としての強い意志も垣間見えた。

「情熱のベクトル」——日常の中の情熱は“梅干し作り”

今回のイベントテーマ「情熱のベクトル」にちなんで、自身の“日常の情熱”について問われた水川さんは、こんなエピソードを披露。
「ちょうど梅を漬けたところなんです。梅酢が上がってくるのを毎日見ていて…。
小さいけど、すごく情熱を注いでる気がします。」
舞台上の華やかさとは裏腹に、日々の暮らしを丁寧に楽しむ姿勢に、観客や取材陣からは思わず笑みがこぼれた。
着物の“未来”を見せた情熱のステージ
水川あさみが『FASHION CANTATA from KYOTO 2025』で体現したのは、単なる衣装の美しさではなかった。
和の伝統と現代の感性、表現としての情熱と日常に宿る情熱——すべてが重なり合った舞台は、着物がこれからどう在るべきかを静かに語っていた。
着物は特別な日に着るもの。
けれど、それがもっと日常に近づいていく未来。
その可能性を、水川あさみは確かに示してくれた。

💎取材・文:洪 玉英 💎カメラ:安藤洋晴